介護者不足の問題・介護事業者への指導監査体制に関する質疑
委員会議事録


≪山口質疑≫
 現在の我が国は,非常に速いスピードで超高齢化社会を迎えようとしています。ここ神戸市におきましても,平成17年10月の時点で65歳以上の市民が約31万人,人口の約20%に達し,さらに25年後の平成42年には人口の約30%に達するという試算もなされております。今後介護を必要とする高齢者がますます増加することが予想され,それを支える介護支援者がどの程度存在し,高齢者を支えていく社会が成り立つのか,非常に危惧するところであります。
 介護保険制度は,高齢化に伴い社会保険制度の必要性から平成12年に国によって制度化され,事業開始からまだ7年余りしか経過していない新しい制度であります。少子化・核家族化,さらには地域コミュニティが希薄となってきている現代社会においては,介護保険を利用した介護サービスを望む市民は増加傾向にあります。それと同時に,介護サービスを始める事業者も増加し,人材が確保されているように思われました。
 しかし,実際にはコムスンのような利益追求の介護がされている事実があり,非常に残念でなりません。当面利用者へのサービス提供には問題はないようですが,まずは市民の不安を解消することが必要不可欠であります。
 また,二度と同じようなことが起こらないためにも,介護保険事業者への指導・監査体制を見直していくべきだと考えますが,ご見解をお伺いいたしたいと思います。
 また,今回のコムスンの一件で,社会全体に介護者不足の現状がクローズアップされました。私は,これまで介護現場の声を数多く聞いてまいりましたが,この問題は決して先延ばしにできるものではなく,一刻も早い何らかの対応が必要であると感じておりました。
 近年,介護を必要とする高齢者もできる限り地域で受け入れようという方針となり,自宅での訪問介護の需要が高まり,地域には事業所や施設が数多く存在しています。しかし,実際には現場で働く介護者が不足しているところもあるようです。そのため,介護者1人当たりの仕事量が多く,体力的な理由で離職をせざるを得ない,また仕事と報酬のギャップに悩まされてやむなく転職に至るといったケースも多いようです。
 さらには,事業所・施設によっては,約3年で人が入れかわるという状況もまれではなく,今では介護職につこうとしている人自体,減少傾向にあるようです。最近介護職の求人がよく目につくのも,そういった状況を強調しているように思います。
 本来,介護者が心身ともにもっと余裕を持って介護に携わり,よりよいサービスを提供することにより,介護を受ける高齢者が少しでも多くの喜びを得ることができる社会こそが,本来あるべき姿だと考えます。私は,ここ神戸が,だれもがいつまでも安心して暮らせるまちになってほしいと心から願っております。神戸には,その力があると信じております。
 そこで,介護者不足が取り返しのつかない深刻な問題になる前に,介護支援者が数多く生き生きと活動するまち神戸を築き上げていくために何か方策をお考えでしょうか,ご見解をお伺いいたします。


≪副市長答弁≫
 まず,介護サービスを希望する市民が年々増加していっている中で,今回のコムスンのような利益追求の介護がなされているといったことに対して市民の不安を解消することが不可欠だ,介護保険事業者への指導・監査体制を見直していくべきではないか,こういったご指摘でございますけれども,ご指摘のように,今回のコムスンの営利追求を優先したこの不正行為につきましては,高齢者や障害者の生活を支える介護事業に携わる者としてあるまじき行為でありまして大変遺憾である,このように思っております。
 現在,市内にコムスンの事業所は23事業所ございまして,この3月末現在での利用者の数は延べで 1,691人になっております。
 今回,6月6日付で厚生労働省の方がコムスンの不正行為に対する国の対応方針を発表されましたが,それ以来本市の対応といたしまして,まずこの利用者の不安解消をするということを考えたわけでございます。具体的には市内の──今約 1,000名ケアマネジャーがいらっしゃいますけれども,ケアマネジャーが加入しております神戸市ケアマネジャー連絡会,あるいは市内74カ所のあんしんすこやかセンター等に対しまして,サービスを利用されている方の不安軽減あるいはまたサービス継続利用への配慮等の対応を要請したところでございます。
 さらに,また各区役所とあんしんすこやかセンター等に対しまして,このコムスンの問題に関する相談窓口を設置いたしまして,6月7日に設置をして以来,月末の28日までの間に 268件のご相談がありましたが,具体的なコムスンの問題での介護に関するトラブルといった点の件数はなかったというようにお聞きをいたしております。
 厚生労働省に対しまして,コムスンに対する継続的指導を行うようにあわせて要望いたしまして,さらにコムスン自体に対しましては,事業譲渡等による廃止までは責任を持ってサービスを提供することを要請いたしました。
 本市といたしましては,引き続きコムスンへの指導を継続していきまして,今後の動きを十分に注視してまいりますとともに,利用者の方が不安にならないように引き続き相談に応じて,サービスが途切れないように対応してまいりたい,このように思っております。
 今回のコムスンのような事業者の不正に対する対応につきましては,事業者に対する指定権者としての県が指導・監査を行うということになっておりまして,不正に関する改善勧告あるいは改善命令,取り消しなどの権限を行使することになるわけでございまして,市といたしましては,介護保険者としてサービスの適正化あるいはまた報酬請求に関する指導・監査を行い,不正を発見したときは報酬の返還を求め,また県へ不正内容を通報するなど,県との連携のもとに対応することといたしております。
 神戸市といたしましては,今回のこのコムスンの事件を受けまして,再発防止策として,事業者に対しまして法令遵守あるいは適切なサービス実施の徹底と,それらの事業者自身の自己点検の実施を求める集団指導を行うことといたしております。また,約 430の障害福祉サービスの事業者に対しましては,既にこの6月29日に実施したところでございますし,また市内の約 2,000の介護サービス事業者に対しましては近日中に実施をする予定でございます。
 ご指摘の介護サービス事業者に対する監査体制でございますけれども,これにつきましては,現在保健福祉局におきまして監査体制として5名の職員を配置いたしまして,監査体制をしいているわけでございますけれども,今後とも兵庫県との連携を密にした合同監査によりまして,さらなる監査体制の強化を図ってまいりたい,このように考えております。
 また,監査対象でございますけれども,特に不正が疑われる事案を中心にして,より重点化を図ることによりまして,効果的かつ機動的な監査を行ってまいりたい。これらの取り組みによりまして,市民の信頼が得られるよう介護保険制度の構築にさらに努めてまいりたい,このように考えております。
 それから,もう1点,介護支援者の不足がより深刻になる前に,介護支援者が数多く生き生きと活動するまちを築いていくためにどのような方策を考えているか,こういうご指摘でございます。
 確かに介護事業者を取り巻く求人の状況というのは大変厳しいものがあるということは言われておりますけれども,近年景気回復に伴いまして全体的に雇用状況の改善がなされておりまして,具体的には全国の有効求人倍率というのは増加傾向にございまして,全職業の有効求人倍率の方は,平成17年度で0.94倍,これが18年度には1.02倍ということで改善をされておられます。ただ,このうち介護関係職の有効求人倍率につきましては,平成17年度で1.47倍,平成18年度で1.68倍ということで,全事業と比較をいたしますと高くなっておりまして,こういったことから介護現場における求人難の状況がうかがわれるところでございます。
 この介護サービス事業者の雇用対策ということでございますけれども,事業者は国が定める介護報酬の中で必要な人件費あるいは物件費を賄い事業運営することになっておりまして,求人難の状況の中でも介護従事者を雇用する努力が求められているところでございます。
 この事業者の取り組みといたしまして,1つはこういった厳しい状況の中でありますけれども,従事者の定着につながるよう職場環境の向上あるいはまた各種の研修を実施していただいております。また,一方で介護保険施設の団体あるいは医師会等で構成をしております神戸市介護サービス協会がありますけれども,これが実施する職種なり経験に応じた各種の研修に積極的に参加するなど,さまざまな取り組みも行っていただいております。
 この一環といたしまして,このサービス協会が実施をしたアンケート調査の結果では,施設での仕事にやりがいを感じている職員が6割,今の職種で働き続けたい職員は7割などとなっておりまして,この結果を踏まえましてサービス協会の方は,従業者が定着するためには,仕事に対する不安を取り除けるように,介護の知識や技術を高めるための研修の実施などが必要である,こういった提言をこの協会の方でいたしております。本市におきましても,事業者が取り組む研修において,講師派遣なりあるいは財政支援など必要な支援を行っているところでございます。
 今後もこの高齢化の進展により要介護者が増加をし,それに伴い介護従事者のさらなる確保も必要になることから,現在国におきまして,社会保障審議会福祉部会におきまして,福祉・介護サービスの分野における必要な人材が確保されるように対応を検討しているところでございます。本市におきましても,国に対しまして,引き続き福祉人材の育成あるいは確保等について要望を行ってまいりたい,このように考えております。
 以上でございます。


≪山口再質問≫
 先ほどの介護保険事業について,そのコムスンの一件,市民の不安を解消するために各区役所,あんしんすこやかの方で相談窓口を設置していただいたということなんですけれども,もちろんその相談窓口は必要かとは思いますが,やはり介護をされている方というのは,なかなか出向くことが難しい方が多いと思うんですね。ですので,もちろん窓口の対応プラス電話での対応等,そういう配慮もできればしていただけたらなあというふうに思っております。
 もう1点ですが,介護者不足の件ですが,先ほど介護支援者に対する研修の実施をされているということをお伺いしたんですけれども,実際私も介護支援者,事業者の方とお話をする中で,そういう研修はかつてもされてきておりましたし,今後も展開していただけるということなんですけれども,実際に研修にはその方々出たいという気持ちはあっても,なかなか本業の方の仕事が手が回らなくて,研修に出たいんだけれども出られないという現状もあるようですので,そのあたりの対応も今後考えていただけたらと思っております。


≪副市長答弁≫
 コムスンに関連いたしまして相談窓口が,電話での対応はどうか,こういったご質問でございますけれども,実は神戸市のホームページに介護保険情報ということで,株式会社コムスンが提供する介護保険サービスについてということで,この6月9日からホームページに掲載をいたしております。この中身は,コムスンが提供しているサービスを利用されている方,ご家族等におかれましては,不明な点がございましたら,下記の各区役所健康福祉課またはあんしんすこやかセンターまでお問い合わせくださいと,こういうことで連絡先の電話番号をこのホームページで掲載いたしております。
 先ほどご答弁申し上げました──区役所,あんしんすこやかセンター,それから障害者地域生活支援センター,この3カ所での相談件数と申し上げましたが,ちょっと件数は確認できませんけれども,全体として 268件と申し上げましたが,この中にも恐らく電話での相談も入っているんじゃないかなと,このように思っているところでございます。したがいまして,このホームページをごらんになった方が,こういった区役所,あんしんすこやかセンター等に出向いてこられない方は,こちらの方に電話でご相談いただいたらと,このように思っているところでございます。
 それから,研修の件でございますけれども,ご指摘もありましたように本当に介護・福祉,こういった部分についての人材育成というのは,やはり介護サービスの中で最も基本となる部分だということで認識をいたしておりまして,そういった意味で事業者自身が,みずからの従事者に対して研修を受けていただくことによって意識を高める,こういう機会を提供するという意識を持ってもらうことが大変大事かと思っておりまして,先ほどご答弁申し上げましたように,従事者の仕事に対する不安を解消し,満足度を高めることが職員の定着にも効果がある,さらにはまたサービスの質の向上につながって,利用者のサービスの向上につながる,こういうことでございますんで,当然のことながら事業者がまずはこういった取り組む研修等に対しまして,私どもとしてはできる限りの支援をしたい,こういうことですから,ご指摘のように仕事が忙しくて研修が受けられないということがないように,さまざまな事業者自身も研修の機会を設けておりますし,サービス協会の方でもそういうさまざまなメニューを用意しております。そういったことに対して,市としてさらなる支援をしていきたい,このように思っております。


≪山口再質問≫
 先ほど神戸市のホームページでコムスンの相談等できるという旨の掲載があるというふうに伺いましたが,先ほども申し上げましたが,介護されている方,やはりとても体力的にも精神的にもすごく余裕がない方が多いというふうに私は認識しておりまして,なかなかホームページを見る余裕がなかったり,区役所に出向く余裕がなかったりという形だと思いますので,ホームページでのPRはもちろんとても必要なことだとは思いますけれども,それプラス,例えば広報で呼びかけをする,こういう形で電話相談も受け付けていますという形であったり,何かしらできるだけ市民の方々の目にたくさん触れるところにもう少しPRをして──PRというか,訴えかけをしていっていただきたいなあというふうに思っております。
 もう1点,研修の件なんですけれども,もちろん私もそういう研修,人材育成のための研修というのはとても大切なことだと思っておりますし,実際現場で働いていらっしゃる介護支援者の方というのはかなり意識が高い方が多いですので,もっともっと利用者の方,高齢者の方に満足をしていただけるように日々努力されていますし,とてもそういう高い意識を持って仕事に従事されております。ですので,きっとそういう研修があれば,もっともっとこれから参加をしていきたいというふうに思っていらっしゃる方も多いと思います。
 その中で,どうしても仕事の方が忙しくてという部分があって,これは根本的に本当にやっぱり介護者の不足が問題にはなってくるかとは思うんですけれども,これは今すぐにどうこうというわけではなくて,介護保険事業については国で定められている部分もありますので,なかなかすぐに対応という形は難しいかとは思いますが,そういった介護支援者,事業所の方々が研修を気軽に受けられる,そういう場所をこれからもっともっと考えていただきたいなというふうに思っておりますが,再度ご見解をお伺いしたいと思います。


≪副市長答弁≫
 先ほどホームページと申し上げましたが,ホームページを掲載するに当たりましても,市政記者に対する資料提供をいたしまして,これにつきましては既に各新聞紙上等にも掲載をされておりますんで,新聞をごらんになっていただければ目につくんではないかなと,このように思っております。
 それから,もう1つは従事者の関係でございますけれども,今もご答弁申し上げましたように,高い意識を持たれた介護従事者が,非常に厳しい介護の現場で支えていらっしゃるということは,私どもも実感をいたしております。そういった意味で,できる限りいろんな機会に事業者の方に対していろんなメニューを提供して,それぞれの従事者に合った研修を受けていただき,そしてまた介護の質を高めていただくようなことでの話はやっていきたい,このように思っております。